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週末はアートフェア~アートフェア東京2021みどころ、速報!

更新日:2021年3月19日

まいど、アートナビゲーターのあづまっくすでございます。この美術検定ブログでは恒例となりましたアートフェア東京のレポート、みどころを速報でお届けいたします。



アートフェア東京とは、国内外の140のギャラリーや企業が参加する、日本最大のアートフェアです。会場は有楽町の東京国際フォーラム、2021年の今年は本日3月19日(金)から21日(日)までの開催です。アートフェア東京の特徴は、古美術から近・現代美術、工芸やジュエリーといった幅広いジャンルの作品を取り扱っている点です。


昨年2020年はコロナ禍で初めて中止(2011年は東日本大震災の影響で延期)となり、主催者が準備したプラットフォームでのオンライン販売に切り替えましたが、今年はリアルでの開催にこぎつけました。ただ参加ブースは、海外からの参加が3、全体でも140と、ここ数年160を超えていたことを考えると、緊急事態宣言の影響が垣間見えます。その分、展示スペースを拡大するといった配慮がされていて、よい面も出ていると感じました。


2016年以降「暮らしとアート」をコンセプトにしていたアートフェア東京、今回はコロナ禍の中で「By ART」というテーマをかかげています。捉え方は様々ありましょうが、自分の中では、コロナ禍において制作し続けた作家たちの想いを、見る側のわたしたちが受け止める、作品を通じたコミュニケーションを感じるテーマに感じました。


そう思ってこの一年を振り返れば、外出自粛の中でオンラインのコミュニケーションを余儀なくされ、美術展など作品鑑賞でさえも、2020年3月にスタートしたニコニコ美術館や森美術館などでのVR展示「未来と芸術」展3Dウォークスルーなど、オンライン配信されるケースが増えました。その反動として、リアルな場・作品への欲求が強まっている気がします。2021年に開催されたSBIオークションでは、近現代絵画を中心に高額落札が相次いだのもうなづけます。今回アートフェア東京の会場を回って、写真や映像作品が例年に比べ極端に少なく感じたのは、質感や筆致、作家の息遣いを至近距離で感じられる作品としての絵画や彫刻の必要性を、ギャラリーの方自身も感じていたからではないでしょうか。


今回は、これまで通路だった場所もブースとなっているので、お目当てのギャラリーまで少し歩くケースもあります。ただ、入口から入って右側に古美術や近代美術、左側に現代美術としていた頃と比べ、ここ数年いい意味で作品との偶然の出会いが増えました。現代美術の画廊が増えたこともありますが、実際、古美術を中心としたエリアで現代の作家の作品に出会う、それもまたリアルな場ならではのセレンディピティ(予想外の出会い)を改めて感じました。ぜひくまなく回ってみてください!


あづまっくす自身、会場をゆっくり見て回るのは、本日19日(金)以降にしようと思っていますが、ポイントを3つほど。


1・壁の向こうにも作品がある!


今回、作品点数は3000点とのこと。ギャラリー自身も工夫を凝らし、多くの作品を見てもらうために壁を増やしています。壁の向こう側にも作品がかかっていることがあるので、ブースを外から眺めるのではなく、ぜひ中に入ってみましょう!


2・毎日展示替えのブースもある!


フェア後半になると、買い手がついた作品を展示替えしている可能性もあるので、複数日通うのもあり!地下2階は有料ですが、地下1階エリアは今回も無料。金沢や香川の工芸や西武そごう・松坂屋・ポーラなどの「Crossing」、個展形式で一人の作家を紹介する比較的新しい画廊の「Projects」など見どころ満載です。

また、タカ・イシイギャラリーでは、毎日違う作家を展示替えするとのことで、こちらもお楽しみに。最終日は人気の作家、内藤礼の展示だそうです。


3・時間制チケットを有効に!


アートフェアでは通路も狭く作品との距離も近いので、どうしても作品を見逃しがち。今回は時間制チケットということもあり、事前にまず地下1階から地下2階の会場をながめてみましょう。どのブースに人が多いかも参考になります。そして入場時に念のため、再入場の確認を。今回は時間制なので、最終入場は終了30分前という入場制限はありますが、当日であれば再入場可能です。気づかなかった作品がないか、もう一度上からながめてみるのもオススメ。もちろん地下1階は無料エリアでチケットの時間前後にゆっくりみられるので、まわる順序も気をつけて!



さてお待ちかね、今回気になった作家を紹介する、あづまっくすセレクション。

一人目は、靖山画廊で展示されていた髙橋賢悟さん。昨夏開催されていたパナソニック汐留美術館「和巧絶佳」展にも出展されていましたが、今回もブース内でひときわ目立つ黒い空間に作品が輝いてました。今回も彼の特徴であるアルミニウムを用いた精巧な『Second forbiddance -Adam -/-Eve-/-truth-』。聖書にあるアダムとイブを題材にしつつ、骸骨にそえられた仏花である菊の花。生と死という永遠のテーマに、和洋の軽やかな(アルミだけに)融合がとても美しく感じられました。



二人目は、日動コンテンポラリーアートで展示されていた今西真也さん。昨年のシェル美術賞2020でグランプリを受賞されている彼の作品は、絵筆で絵の具をひっかきながら掘っていくことで下地になっている別の色があらわれ、作品が立ち上がってくる。近くでみるとその盛り上がりが、遠ざかると何が描かれたかが見えてくる、ここで紹介している写真では伝わらない、まさにリアルでぜひ見てほしい作品です。



その他、美大生が美大生をキュレーション展示する「Future Artists Tokyo」も今回は3回目。今回は遠方からの参加が難しいため、東京芸大出身の作家を中心に、絵画から彫刻・工芸まで幅広く選ばれた25名の若手の活躍を俯瞰できる展示は、今回地下2階の有料エリアギャラリーの向かいにある室内で開催されています。あわせて「ArtSticker」の展示も行われているのでお見逃しなく!



毎年この時期には、様々なアートフェアやイベントがアートフェア東京にあわせて開催されますが、今年はこれまで同時開催されていた3331アーツ千代田での3331 ART FAIRや、汐留にあるパークホテル東京でのART in PART HOTEL TOKYO(AiPHT)が開催されていません。コロナの影響を感じずにはいられませんが、一方で、日本橋界隈で3月19日(金)から開催されるアート解放区EATS日本橋や、3月31日(水)まで開催中の渋谷ファッション・ウィークなどのイベント、また3月20日(土)より始まる東京都現代美術館での「ライゾマティクス_マルティプレックス」展をはじめとした美術館の展示も見逃せません。

今回スポンサーはやや様変わり。寺田倉庫やクレディ・スイスに加えてTikTokがエントリ、ここも時代を映してますね。ちなみにTikTokでは、美術検定1級取得者のアートナビゲーターがナビゲートするアートの学びを提供するメディア「Study by 美術手帖」というチャンネルもあります!


そして一番気になるのはチケット。事前オンライン予約ですが、前回から据置き5000円(当日予約、前日までは4000円)!イベントレジストのプラットフォームを使い、QRコードに加えて顔認証を選択できます。ご自身の顔写真をアップロードする手間はありますが、新しい試みにチャレンジしてみてはいかがでしょうか(ただし顔認証できなかったときのためQRコードをお持ちいただくのをおすすめします!)。

本日初日19日(金)の12時の回は現時点ですでに満席ですが、美術展の常として会期末は混み合います。また当日は1000円アップ!ですので早めのご予約をおすすめします。


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“新しい生活様式”として定番の、手の消毒・マスク着用・体温測定に加え、時間指定チケットによる入場者数管理、顔認証による入場方式など、昨年秋に天王洲で開催されたアートフェアArtTNZでの実績をもとに、コロナ対策に取り組んできたアートフェア東京。緊急事態宣言下の東京ではありますが、"New Normal"なアートフェアへの一歩を感じたプレビューでした。

アートフェア東京2021 https://artfairtokyo.com/2021 【開催日程】※全日入場は終了30分前まで 3月19日(金)12:00-19:00 3月20日(土・祝)12:00-19:00 3月21日(日)12:00-16:00 【会場】 東京国際フォーラム 展示ホール(東京都千代田区丸の内3-5-1)

【チケット情報】 https://artfairtokyo.com/2021/visitor_info 4,000円(事前オンライン予約・時間制)

レイトパスチケット 2,000円 ※19日(金)、20日(土)の17時〜19時(最終入場18時30分)

AFT2020 中止


プロフィール/ 美術館でのボランティアや、画廊巡りのガイドツアーといった美術の現場で、鑑賞する楽しさを伝えるアートプラクティショナー。美術作品を前にしたとき言語化できない感情をレゴブロックで表現するワークショップも開催。月1トークイベント1st Saturday Salon主催。Instagramやtwitterはぼちぼち。最近はCLUBHOUSEで『平日美術館アートシーン』を毎日20:45から放送中。


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