日替わりで世界の名画を楽しめるアプリ「DailyArt」

 皆さん、こんにちは。アートナビゲータの綿貫です。

新型コロナウイルスの影響で、美術館にも行けませんね。今回は、在宅・巣ごもり状態でも日替わりで世界の名画が楽しめるアプリ「DailyArt」をご紹介します。

 「DailyArt」は、ポーランドの美術史家やアーティストが中心となって2012年に立ち上げたスマホ・アプリです。毎日1点、世界のアートを簡単な解説と共に日替わりで掲載しています。Webサイト(https://www.dailyartmagazine.com/)やSNSでもアート関係の情報を配信していますが言語はすべて英語。一方、アプリの方は世界10数ヶ国語に対応しています。 

 私は数年前からアプリをダウンロードして使っていましたが、2019年秋に「日本語対応を計画中。ボランティア翻訳スタッフ募集!」のお知らせが届いたことがきっかけで、英日翻訳スタッフとして参画することになりました。


 今回は、掲載されるアートの特徴、翻訳苦労話、アプリの使い方の3部構成で「DailyArt」を紹介してみたいと思います。


1.どんなアートが紹介されるのか


 紀元前のアートから、ルネサンス、印象派、浮世絵、現代アートまで幅広くカバー。絵画中心ですが、彫刻やタペストリーなども時々登場します。絵画はフェルメールやモネ、クリムトなどの有名なものも掲載されますが、日本ではそれほど知名度が高くない作品に出会えることも楽しみの一つです。

 例えば、19世紀のフランスの画家ジェームズ・ティソの『十字架上から見たキリストの磔刑』(画像左)。十字架にかけられたキリストの姿は数多くの画家が手掛けてきましたが、この作品では、磔刑されたキリスト自身の目線で眼下の情景が描かれています。視点のユニークさが非常に印象深いですね。

 また、主要メンバーがヨーロッパ在住ということもあるのか、東欧や北欧の画家もよく採り上げられます。中でもレンブラントの登場頻度が高い気がするのは、セレクトしている人の趣味でしょうか。アメリカやイスラム圏の絵画や彫刻、そして日本の江戸から明治にかけての作品も紹介されます。最近も、私の好きな葛飾応為(北斎の娘)の『吉原格子先之図』が掲載されました(オリジナルは東京・原宿の太田記念美術館にありますね)。

 現代アートの頻度はあまり多くないのですが、これは著作権の関係があるようです。古い作品はパブリック・ドメインになっているので、所蔵している美術館の協力が得られれば、権利関係を気にせずに掲載できるようです。

2.アートの翻訳は難しい


 翻訳作業は何名かのボランティア・スタッフで分担してやっていて、私は毎月およそ1週間分を担当しています。作品1点に対して、画家の紹介や作品の見どころ、時代背景などの解説文が付いています。

 作品の日本語名はたいてい決まった名称があるので、翻訳作業はそれを調べるところから始まります。例えば、前述の葛飾応為の作品であれば、英語の原稿では“Display room in Yoshiwara at Night”。これを『夜の吉原の展示部屋』としたら誤訳になってしまいます。

 また、現代アートは元々抽象表現が多いので、その解説もかなり抽象的、概念的になり、それを読み解いて日本語に置き換えるのはかなり苦労します。イスラム圏やインドの作品は、歴史的背景を把握するところから入るので特に大変です。ムガール帝国時代のモスクの室内装飾を紹介した回では、礼拝室のミフラーブ(壁龕)に刻まれたコーランの一節が英文で紹介されていて、どう訳すべきか途方に暮れました。散々調べた結果、コーランの日本語版の中から該当の一節を見つけ、事なきを得ました。

3.アプリの使い方


 iPhoneならApp Store、Android端末ならGoogle Playから「DailyArt」を検索してダウンロードしてください。ダウンロードしたら、画面左上のメニュー・アイコンをタップ。その次の画面で右上の歯車のようなマークをタップすると、Language(言語)を選択できるので、そこから日本語を選択してください。元の画面に戻ると、表記が日本語になっているはずです。無料版では一部機能制限がありますが、メニューの「アーカイブ」では、過去に掲載された作品を検索したり、お気に入りの作品を保存したりしておくこともできます。


 

 更に、掲載作品の画像をタップすると、作品が拡大表示されます。2本の指で画面をタッチして指幅を広げる(ピンチアウト)と更に拡大されるので、タッチや色合いの細部まで見ることができます。

 いかがでしたでしょうか?是非アプリをダウンロードして、世界の名画をお楽しみください!



プロフィール/神奈川県川崎市在住。本業は会社員。アートは趣味ですが、会社員生活が一区切りついたら、日本のアートをインバウンドの外国人観光客に紹介するような仕事に携わりたいと企んでいます。週末の趣味として、名画を模写した陶板画の制作などもやっています。2019年1月美術検定1級取得。世界遺産アカデミー認定講師。

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