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CINEMAウォッチ「ルーブル美術館の夜」

こんにちは。アートナビゲーターの深津優希です。新型コロナウィルス感染拡大防止のため、いろいろな我慢が続いていますよね。私がボランティアしている東京国立近代美術館でのガイド活動も今年の2月を最後に中止されていますが、10月よりオンライン対話鑑賞というプログラムが始まりました。以前のようには出来ないことも多いけれど、新しい楽しみも少しずつ探していきたいですね。

新しいことといえば、つい先日には初のオンライン試験を導入した美術検定が開催されました(4級は現在も通年で開催中です)。挑戦されたみなさま、慣れない形での受験、お疲れ様でした!問題集でのお勉強から一旦解放されたところで、アートを映画で楽しみませんか?勉強したことが確認できたり、記憶に定着できたり、次の試験にも活かされるかもしれません。

というわけで、今回は試写でみてきたばかりのドキュメンタリー映画ルーブル美術館の夜 ― ダ・ヴィンチ没後500年展」と、ダ・ヴィンチ関連の映画をいくつか併せてご紹介します。



ルーブル美術館公式ドキュメンタリー

2019年から2020年にかけて107万人という史上最多動員を記録した、ルーブル美術館の企画展「レオナルド・ダ・ヴィンチ展」。今回紹介するのは、チケットが取れない話題の展覧会会場に、真夜中にカメラが入って撮影した、ルーブル美術館公式のドキュメンタリーです。巨匠の没後500年を記念して、10年かけて展覧会を準備してきた絵画部門チーフ・キュレーターのヴァンサン・ドリューヴァンと、素描・版画部門ルイ・フランクが案内します。


こうした美術館ドキュメンタリーの見どころのひとつは、やはり高精細画像を映画館の大きなスクリーンでみられること。ルーブルのコレクション以外にも、企画展のためにエルミタージュ美術館やヴァチカン博物館などから集められたダ・ヴィンチ作品をじっくり堪能できるのです。《受胎告知》、《岩窟の聖母》、《ミラノの貴婦人の肖像(ラ・ベル・フェロニエール)》、《最後の晩餐》、《洗礼者ヨハネ》、《聖母子と聖アンナ》、《モナ・リザ(ラ・ジョコンダ)》などの名作が次々登場し、これらの作品を通してダ・ヴィンチの生涯や、どのように絵画制作に向き合ったのか、そしてどのような技術を駆使していたのかを知ることができます。



さあ、美術検定のおさらいです。ダ・ヴィンチの先生の名前は?スフマート、キアロスクーロとは?映画の中で答え合わせをしてみましょう。海外旅行もままならない今、映画館で楽しめるアートをぜひお見逃しなく。2021年1月1日(金)に公開予定です。


「アート・オン・スクリーン」にもダ・ヴィンチが!

先ほどの作品は、真夜中の美術館にこっそり入り込んで作品をみるという疑似体験がユニークですが、実はレオナルド・ダ・ヴィンチ没後500年記念の映画がもうひとつ、2021年1月29日(金)に公開予定です。一足お先にオンライン試写でみてみました。以前に美術検定ブログのCINEMAウォッチ「アート・オン・スクリーン ミケランジェロ:愛と死」でもご紹介した「アート・オン・スクリーン」というシリーズ、覚えておいででしょうか。あのシリーズの新作、「天才画家ダ・ヴィンチのすべて LEONARD: THE WORKS」です。世界8カ国でロケーションを敢行し、現存するすべてのダ・ヴィンチ作品を撮影しています。中には、世界最高額508億円で落札され、上記のルーブル美術館で開催された「レオナルド・ダ・ヴィンチ展」に出品予定であったものの、直前に展示中止となり現在行方不明ともいわれる(!?)ダ・ヴィンチ最後の作品《サルバトール・ムンディ》も含まれるとか。師であるヴェロッキオとのエピソードや、パトロンに売り込む際の手紙の内容、フランスで最期を迎えたことなど、ダ・ヴィンチの生涯や人となりへの理解が深まります。スケジュールや劇場リストをチェックして、鑑賞候補に入れてくださいね。


またこちらの映画公開に先駆けて、12月11日(金)19時~千代田区立日比谷図書文化館で関連講座映像で辿る、それぞれのルネサンス――レオナルド・ダ・ヴィンチ、パブロ・ピカソ、フリーダ・カーロ」も開催されます。この講座では、アートナビゲーターのお仲間でもある中村宏美さんが講師を務められます。「アート・オン・スクリーン」がさらに見ごたえのあるものになる、楽しいお話がきけること確実です!こちらもぜひチェックされてみてください。


再現ドラマが楽しいこちらも

さてさて、2017年には世界初4Kスキャンによる《最後の晩餐》を売りにした「レオナルド・ダ・ヴィンチ 美と知の迷宮」をCINEMAウォッチで紹介していました。日本語吹き替えで80分なので、長い作品が多い美術館ドキュメンタリーの中ではお手軽に楽しめる1本です。特に、ダ・ヴィンチの絵のモデルとなった女性や、弟子のサライらに扮した俳優による再現ドラマが面白くて、楽しくルネサンスの巨匠について学ぶことができます。映画公式サイトはなくなっていますが、タイトルで検索するとDVDが発売されていますし、Amazon Primeでも見られるようです。おでかけを控えている方は、こちらをおうちで鑑賞してみてはいかがでしょうか。


レオナルド・ダ・ヴィンチは有名すぎて小学生でも知っているかもしれませんが、勉強したり、鑑賞したり、知れば知るほど面白い巨匠です。大画面で作品を鑑賞したり、研究者の語りに耳を傾けたり、再現ドラマを楽しんだり、映像ならではの多様なアプローチでアートに親しめます。ぜひ、ご覧ください!


◆「ルーブル美術館の夜 ダ・ヴィンチ没後500年展 ルーブル美術館公式ドキュメンタリー」


「アート・オン・スクリーン 天才画家ダ・ヴィンチのすべてLEONARD: THE WORKS」


CINEMAウォッチ「レオナルド・ダ・ヴィンチ 美と知の迷宮」



写真クレジット:Pathe Live



プロフィール

美術館ガイド、ワークショップ企画、美術講座講師、執筆などを通して、アートと観る人をつなぐ活動をしています。このブログでは、アートが題材となった映画をご紹介しています。


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