CINEMAウォッチ「ジュゼップ 戦場の画家」

みなさんこんにちは、アートナビゲーターの深津優希です。

東京はなんと4度目の緊急事態宣言中です。ワクチン接種が済んだら少しは自由に動きたいという気持ちもありましたが、どうも開放感を満喫できるのはまだ先のようです。

さて、2021年8月13日より公開予定の映画「ジュゼップ 戦場の画家」をオンライン試写で見る機会がありました。当ブログCINEMAウォッチ初の、アニメーション映画のご紹介です。劇場でご覧になる場合には、感染症対策を万全にしておでかけくださいね。



老人と孫との対話

主人公はタイトルの通りジュゼップなのですが、もうひとりの主人公ともいえるのがセルジュ、現代のフランスでほとんど寝たきりになっている老人です。

訪ねてきた孫のヴァランタンのスケッチ帳をみて、絵が好きなことを知ると、壁にかけてあった一枚の絵を彼に渡し、友人ジュゼップの思い出を語り始めます。そこには寝顔のような、死に顔のような、男の顔が描かれていました。


「1939年に何があったか知っているか?」

「第二次世界大戦でしょ」

「2月だから、その前のことだ」


ジュゼップの物語

第二次世界大戦の始まる前、フランコ政権の圧政から逃れて約50万人のスペイン人がフランスへ逃れたといいます。フランコ政権といえば、フランコ軍を支援するナチス・ドイツ軍によるスペイン・バスク地方への無差別攻撃を描いた、ピカソの大作《ゲルニカ》を思い浮かべる方も多いかもしれません。

さて、フランスへ命からがら到着したスペイン人たちを待ち受けていたのは、強制収容所。劣悪な待遇に苦しむ人々や、彼らを虐待するフランスの憲兵を観察し、指や枝で地面や壁に絵を描く難民がいました。それがレジスタンスで画家のジュゼップ。その様子を見た新人憲兵のセルジュは、ジュゼップに紙と鉛筆をこっそり手渡したり、彼の婚約者のゆくえ探しを手伝ったりと、有刺鉄線を越えた友情をはぐくみます。その後ジュゼップはメキシコへ亡命しました。


フリーダ・カーロ!?

戦後、セルジュは懐かしい友人ジュゼップを訪ねてメキシコへ旅行します。そこでセルジュの恋人として登場するのが、フリーダ・カーロ。ん?フリーダ・カーロ?あのまゆげの? 急に有名画家が登場して、「これは全部実話だったのか!?」となりました。そう、実在の画家ジュゼップ・バルトリの物語だったのです。ここでのフリーダのセリフに、美術好きのみなさんは思わずにやりとしてしまうでしょう。どうぞお楽しみに。

時は経ち、セルジュおじいちゃんから話を聞いていた孫のヴァランタン青年はニューヨークへ。ジュゼップの回顧展を見に来たのです。おじいちゃんから受け継いだジュゼップの絵がどうなるか、みなさんの目でしっかり見届けて下さね。


差別や虐待を平気でする人間の恐ろしい姿を、優しいタッチのアニメーションによる鋭い描写で表現していて、それでいてそこかしこに優しい人間のユーモアもあり、良い映画に出会ったな、と感じました。みなさんもぜひご覧ください!



◆映画公式サイト

「ジュゼップ 戦場の画家」 https://longride.jp/josep/


◆参考

映画「フリーダ」(2002年) https://eiga.com/movie/1064/

映画「フリーダ・カーロに魅せられて」(2020年) https://artonscreen.jp/



プロフィール

美術館ガイド、ワークショップ企画、美術講座講師、執筆などを通して、アートと観る人をつなぐ活動をしています。最近では美術手帖TikTokアカウントにて動画で作品紹介も。このブログでは、アートが題材となった映画をご紹介しています。

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