こんにちは、アートナビゲーターの日下真美です。今回は、新年2022年より新しく「美術検定応援館」に加わる予定の、東京・南青山にある「ヨックモックミュージアム」をご紹介します。
美術館の成り立ち
「ヨックモック」の創業者である藤縄則一氏の“菓子は創造するもの”という想いを受け継ぎ、ミュージアム館長の藤縄利康氏は30年以上かけて、500点以上のピカソのセラミック作品を中心とした美術品をヨックモックグループとして収集しました。その精練された作品を様々な企画展を通して展示する美術館が、2020年10月25日ピカソの誕生日に合わせて開館されました。
創造性を大切にするミュージアムの理念は、ピカソの豊かで自由な発想のセラミック作品ともつながります。この発想が投影された形で、「アートセラピー」を応用した教育プログラム、「お菓子とアート」がコラボレーションしたイベントを開催するライブラリー、オリジナルメニューを楽しめるカフェなど、コレクション以外にもワクワク感満載の都市型美術館です。
友人の家を訪ねるような美術館
お洒落なショップが立ち並ぶ東京・南青山の通りから少し離れた住宅地の中に、「ヨックモックミュージアム」の白い建物が現れます。静かな環境になじむような家型のたたずまいは、「友人を招くような温かなおもてなし」をしたいと、住宅地の土地探しから5年の歳月をかけて丁寧なコンセプトで作られたそう。特徴的な屋根瓦の形状は、ピカソの住んでいたコートダジュールの屋根瓦をイメージしています。
美術館の見どころ セラミックがふんだんに使われた外観や美術館の内観は、見どころが沢山あります。受付は玄関に入ったような温かな雰囲気で、横のロッカーには陶器のマーク、案内や手洗いなどのサインはセラミックの楽しいデザイン、床や壁は窯で使われる耐熱煉瓦をイメージしているそうです。
いざ!館内へ(地下展示室:企画展 1章~3章)
受付を済ませ、ロッカーに荷物を預け展示室へ。ほの暗い洞窟に入るように、階段を下りて行きます。地下1階は、照明を落として作品と静かに向き合えるような空間の展示室。こちらでは現在、「地中海人ピカソ-神話的世界に遊ぶ」展が開催されています。
地中海は、ピカソが60歳を超えて作陶に没頭した地。セラミック作品の世界を、古代から伝わる神話世界のモチーフを切り口に読み解いていく構成になっています。
1章「神話世界と動物たち」
2章「プロヴァンスの幸と鳥たち」
3章「闘牛:古代地中海世界からの儀式」
4章「人間愛とヌード賛美」
この章立てを見るだけでも、マラガ生まれのピカソが「地中海人」であり続けた在りようが想像出来ますよね!ピカソが絵画だけでなく、作陶にもかけた情熱が伝わってくる企画展です。
いざ!館内へ(2階展示室:企画展 4章&常設展)
2階は地下とは対照的に、柔らかな光が溢れる展示室。奥の常設コーナーには、コレクションの中からピカソのセラミック作品54点が壁一面に展示され、圧倒されます。好きな作品を探すのも楽しいひと時です。
映像コーナーでは、ピカソの作陶している様子やおちゃめな姿を見る事が出来ます。他にも、ピカソがお気に入りだったロッキングチェアをイメージしたフォトスポットで写真をパチリ。記念になりますね!
カフェで余韻を楽しむ
ぐるりと建物を巡ったら、1階にある「カフェ ヴァロ―リス」へ。カフェの名は、ピカソが作陶に励んだ町が由来となっています。オリジナルのドリンクやお菓子をいただきながら、余韻に浸りましょう。友人の家でお茶するような時を過ごせます。
他にも、ピカソのオリジナルグッズコーナー、ライブラリースペースでアートプログラムが開催される日、入口や中庭に植えられた四季の花々など、再訪するたび新しい発見がある美術館です。
■ヨックモックミュージアム
〒107-0062 東京都港区南青山6丁目15-1
開館時間 10:00~17:00 (入場は16:30まで)
休館日 毎週月曜日(祝日の場合は臨時開館)、年末年始(12/27~1/3)、展示替期間
観覧料 一般1200円、中学生・高校生・大学生800円、小学生以下無料
Tel 03-3486-8000 URL https://yokumokumuseum.com/
※2022年1月4日以降、合格認定証を提示しますとポストカードが進呈されます。
プロフィール/美術館のチラシで美術検定を知り、ナビゲーターという言葉に惹かれて受験。2009年に美術検定1級取得。アートの楽しさを多くの人に伝えたいと、公、私立美術館を中心に、案内や作品ガイド、広報等活動中。特にガイドで心掛けているのは、来た時より帰りは笑顔で。展覧会だけでなく、アートイベントやシンポジウム等、興味のアンテナ張りは尽きません。
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