CINEMAウォッチ「モネと時間旅行」
こんにちは、アートナビゲーターの深津優希です。映画を入口にアートを楽しむCINEMAウォッチ、今回ご紹介するのは、『モネと時間旅行』(2026/9/18(金)よりロードショー)です。

セドリック・クラピッシュ監督の新作
『ダンサー イン Paris』の監督と紹介されていますが、個人的には『猫が行方不明』『パリの確立』『スパニッシュ・アパートメント』あたりの作品に夢中になり、DVDも購入して当時繰り返し見たものです。
今回の作品では印象派の画家クロード・モネをモチーフに取り込み、監督のお気に入りの時代ベル・エポックを描くために衣装や美術、音楽、ロケ場所など様々な工夫がこらされました。CINEMAウォッチにもピッタリではありませんか(^^)/
二つの時代、二つの場所をつなぐ、家族の物語
現代と19世紀末
幼い頃に両親を亡くし、祖父と暮らす主人公セブはデジタルコンテンツのクリエイター。美術館の絵の前でファッション撮影をしていたところ、ドレスと絵の色がいまいち合わないから絵の色を変えちゃえば?とモデルが言い出して、セブは困惑。自分のやりたいことと、今やっている仕事が違うことを実感します。
もう一人の主人公アデルは19世紀末を生きる21歳の女性。祖母に育てられ、母とは会ったことがなく、お金が送られてくるだけの繋がりです。祖母を亡くしたことを機に、今後の人生を考えるためにも、恋人を置いて一人、母に会いにパリへ向かいます。

パリとノルマンディー
実はアデルはセブの数代前の先祖。アデルが遺した屋敷を買い取りたい自治体が、アデルの家系を調べてセブを含む親族たちにパリで説明会を行います。そこで、セブと3人の親戚が代表となり、ノルマンディの家を訪問して遺品などを調べることに...。現代のセブたちはパリからノルマンディーへ祖先を知る旅に出て、家の持ち主であったアデルは母を訪ねてパリへ旅をする。二つの時代、二つの場所をつなぐ、家族の物語が重なりつつ進行します。この重なりが、とてもうまく映像化されていて、知らず知らずのうちにすっかり引き込まれてしまいました。細かいことはぜひ劇場で見るときのお楽しみにとっておきましょう。

モネ没後100年
2026年は印象派を代表する画家の一人、クロード・モネの没後100年にあたります。今年の春にアーティゾン美術館で開催された「モネ没後100年 クロード・モネ —風景への問いかけ」展を楽しんだ方も多くいらっしゃるかと思います。
映画でもモネについておさらいできそうです。まず、モネが《印象、日の出》を描いた1872年のエピソードが、フィクションですが素敵に描かれています。本当はどうだったのかな?
その絵が展示された第1回印象派は、写真家ナダールのスタジオで1874年に開かれました。映画ではこの展覧会のシーンがなかなか面白く演出されています。
モネが還暦を前に、描きたいものを探して旅するのをやめ、描きたい景色を自分で作ったのがジヴェルニーの庭でした。映画ではどんな登場の仕方になるかお楽しみに。

モネの絵が見たくなったら、国立西洋美術館で開催中の「特集展示 クロード・モネ没後100周年」 で、素描や寄託も含め19点をまとめて見られます。また、ポーラ美術館でも「あたらしい目―モネと21世紀のアート」 が開催中。革新的な「目」をもって絵画のあらたな時代を拓いたモネと、現代の作家たちの「目」が交わりあう、という企画は、映画の中で二つの時代を行き来したあとに見ると面白そうです。
ぜひこの機会に、劇場へ、そして美術館へお出かけください。きっとあたたかい気持ちになれますよ。


映画『モネと時間旅行』
9月18日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下ほか全国公開ー
© STUDIOCANAL - COLOURS OF TIME - CE QUI ME MEUT - Emmanuelle Jacobson-Roques
監督・脚本:セドリック・クラピッシュ
出演:スザンヌ・ランドン、アブラム・ヴァプレ、ヴァンサン・マケーニュ、ジュリア・ピアトン、ジヌディーヌ・スアレム、ポール・キルシェ、サラ・ジロドー、セシル・ドゥ・フランス、オリヴィエ・グルメ、ヴァシリ・シュナイダー、ヴァランタン・カンパーニュ
原題:La Venue de l'avenir/2025 年/126分/フランス/フランス語/1:2.35/5.1ch
日本語字幕:古田由紀子
配給:セテラ・インターナショナル
公式HP:https://monetojikan.com/ ■公式X https://x.com/Monetojikan
筆者プロフィール
深津優希(ふかつ・ゆうき)
美術館ガイド、ワークショップ企画、美術講座講師、執筆などを通して、アートと観る人をつなぐ活動をしています。オンラインの鑑賞プログラムや、動画による作品紹介なども。このブログでは、アートが題材となった映画をご紹介しています。




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