美術検定への取り組み~女優/モデル・西条美咲さん

 こんにちは、美術検定協会です。もう間もなく11月、「美術検定1~3級オンライン試験」開催まで2週間を切りました。今回は、映画『白日夢』や『赦免花』はじめ、多数の舞台作品でも主演を務めている女優/モデルの西条美咲さんに、美術検定への取り組みについてお話を伺いました。



―西条さんはすでに美術検定2級まで取得されていらっしゃいますが、最初に美術検定を受験しようと思われた理由は何ですか?


 もともと美術鑑賞を趣味としていたのですが、美術の知識があればより美術を楽しめるようになる、人生も豊かになると感じていました。また、役者の仕事で時代劇に取り組むこともあるので、日本美術を勉強すれば時代背景もよく分かり、舞台作品への理解も深まるだろうと考えて、美術検定を受験しました。


―いつ頃から美術に関心を持つようになったのでしょうか。


 はじまりは、大学時代に一人旅で訪れたイギリスです。その時に初めてヨーロッパの美術館に行ったのですが、スケールの大きさやきらびやかな世界にもう圧倒されてしまって、自分の中にあった美術館のイメージが完全に覆されました。また、学校の教科書で見たことがあった絵画が、自分以外誰もいないような小さな展示室にひっそりと展示されているのを発見した時は、衝撃を受けました。日本に展覧会で来たら、きっと人だかりができてしまうような名作です。西洋美術の本場はこうも違うのか…!と。それから海外の美術館への興味がどんどん膨らみ、帰国してすぐにフランス行きのチケットを取りました(笑)


―イギリスの美術館との出会いが衝撃的な体験だったということですが、他に印象に残っている美術体験はありますか?


 これもイタリアに一人旅で行った時のことなのですが、それまで日本ではあまり目にする機会がなかったバロック絵画に出会いました。イタリアの都市は、街自体がまるで美術館のような場所。教会のような人々が日々集い祈りを捧げる場所に、生きた存在として絵画があります。そうした環境での作品体験が格別のように感じ、また何よりカラヴァッジョやベルニーニなどのバロック美術に心を奪われました。計算された劇的な演出や、人の心に訴えかけるような感情表現は、どこか舞台と通ずるものがあります。これまでどれだけの多くの人が、この場所でこの作品に心動かされてきたのだろう、と思うと胸が熱くなりました。



 それからというもの、役者として「カラヴァッジョの絵画のようなお芝居がしたい」と口にするようになりました。特に、カラヴァッジョの《バッカス》はお気に入りの作品です。画面から本当にワインの匂いがしてきそうなリアリティがあり、バッカスの酔っ払った表情には色気も感じます。

 あと、東京国立博物館で開催された名作誕生-つながる日本美術」で見た、雪舟の水墨画にも感動しました。それまでは、日本美術には正直あまり興味がなかったのですが、初めて実際の雪舟を見たらすごいインパクトで。とても革新的な表現に感じられました。

 それからは日本美術にもはまり、様々な展覧会に行くようになりました。そしてその中で出会った国宝《志野茶碗 銘卯花墻》には恋をするように惚れ込んでしまって…淡いピンクの発色と温もりのある形。一見地味なようでも、隠しきれないオーラを纏った作品だと思います。この作品に出会うまでは、器の良さってよく分からない、なぜこれが国宝なのか、と思っていたくらいだったので、こんなにも見方が変わったことに自分でも驚きました。


―美術検定にむけてはどんな勉強をされましたか?


 とにかく本物をたくさん見て感じるために、毎日のように美術館に足を運びました。

東京・ミュージアム ぐるっとパス」(*1)を活用したり、美術検定の教材に掲載されていたレストランなども利用したりして楽しみながら、試験前の約3か月間は集中して鑑賞に取り組みました。

 問題集は、馴染みのある西洋美術から解き始めて、特にその日美術館で見た作品に関する部分やその周辺を読み込みました。検定のための勉強というよりは、美術を楽しみながら理解を深めていくよう心がけていました。


―美術検定2級では、美術史問題だけでなく美術をみる場についての問題も出題され、試験範囲も広くなりますよね。


 難易度は上がりますが、基本的には美術史の勉強と同様に、テキストと実際の美術館での体験を通じて知識を身につけていきました。美術館に行った際に、室内の温度管理や照明などの展示手法に関わる部分を気にしてみたり、博物館の法律のことを考えたり、企画自体の面白さに注目したり。美術検定での勉強を通じて、そういうことまで視野を広げるようになり、美術館での体験もより面白くなりました。また浮世絵を収集しているのですが、最近は飾るセンスも磨かれてきたような気がします。季節ごとに入れ替えをしたり、玄関には足を拭く人の浮世絵を飾ったりと、時や空間を意識した展示を楽しんでいます。


―他にも、検定を受けて変わったことなどはありましたか?お仕事でも活かされていることがあれば教えてください。


 美術検定を通して、日本美術をより学ぶ機会ができました。一度知ると親しみのわく世界で、国内にある作品も多いので積極的に見に行くようになりました。

 美術作品と向き合うことは、想像力と表現力を磨くためにとても役立っています。特に舞台は、映画やドラマと違って、何もない目の前の空間にその世界を作り出し、観客に伝え感動を届けるために、より想像力と表現力が必要です。例えば浮世絵は、その時代の風景、人々が何を食べていたかなど、その時代に入り込むための情報がたくさん詰まっていて、江戸時代の時代劇に出演する際、衣装や小道具の扱いの参考にもなります。

 絵画の中に自分が入り込んでイメージトレーニングをすることが、役者として欠かせない活動と楽しみになりました。絵画の中に入り込み、朝日を感じ、風や香りを感じ、周りの人物たちの会話を想像して、いろんな世界にタイムスリップしています。


―これからどのように美術と関わっていきたいですか?


 最近は、現代アートについての本を読んでいます。これまでは難しそうと敬遠していたのですが、役者の自分にとって必要なものではないかと思い始めました。パフォーマンスアートなどはまさに演劇と近い存在ですし、インスタレーション作品などの空間を重視する考え方は、舞台とも共通しています。



 役者の私たちは、ワークショップなどによって演技を磨いたり、感情を引き出したりするのですが、現代アートを体験することも、自分に新しい発見や刺激をもたらしてくれるものと考えています。同時代の研ぎ澄まされた感性に出会い、感じたことを、なんらかの形で自分の芝居に反映していきたいです。

 また、アートが社会や一般の人々とのつながりを持とうとしているこの時代において、これからは自分にできることを考えていきたいです。例えば「とびらプロジェクト」(*2)のようなアートプロジェクトにも興味がありますし、役者として現代アートに関わる取り組みができないかとも考えています。

 先日まで出演していた明治座の緞帳(どんちょう)は、チームラボが制作したデジタル・インスタレーションが採用されています。明治座の前身である喜昇座が誕生した文明開化頃の日本橋の町並みが描かれている作品なのですが、SNSで発信したところ大きな反響がありました。そんな風に、自分の身近なところから、舞台を見にいらっしゃるお客様にアートを知ってもらえたらいいし、その逆に、アートに興味がある方が舞台にも興味を持つきっかけが作れたらいいと思っています。


―お忙しいところありがとうございました。今後の西条さんのご活躍を楽しみにしています!



取材・文/梅澤真由(美術検定協会・広報)

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