みなさんこんにちは、アートナビゲーターの深津優希です。2013年にスタートした #CINEMAウォッチ では、アートにまつわる映画をこれまでに30本ほど紹介してきました。今回は、それらのうちAmazonプライム・ビデオ(※)の配信で見られるものを中心にジャンル別にピックアップし、各ジャンルの中で特に見返したいと思った作品に★をつけてみました。劇場に行きそびれたり、なんとなく見そびれたりした作品を、おうちでのんびり楽しみませんか? 感想をSNSに投稿するときはぜひハッシュタグ #CINEMAウォッチ をつけてくださいね。
「美術館ドキュメンタリー」「芸術家のドキュメンタリー」ジャンルのアート映画を紹介した前編に続き、今回は「現代アートよもやま話」「美術史とアートマーケット」「エンターテイメント」を紹介します。
※プライム会員無料のものと、有料レンタルのものがあります。配信状況は変更になることがあります。
※Amazonプライム・ビデオのリンクを貼っていますが、他の配信サイトやレンタルDVDで見られる作品もあります。
現代アートよもやま話
★「ザ・スクエア 思いやりの聖域」
現代社会への風刺がてんこもりで、その尺、151分。オストルンド監督の描く人間たちの行動には、目をそむけたくなったり居心地の悪さを感じたりしましたが、作品自体が不愉快なものというわけでは決してありません。むしろ、面白いものを観たぞ! という大きな満足感とともに会場を後にしました。現代アートが好きな方も、現代アートってどうも鼻持ちならないのよね! という方も、ぜひご覧ください。笑えるところ、考えてしまうところがたくさんありますよ(^^)
「アートのお値段」
アーティスト、コレクター、オークショニアなどにインタビューを実施。200点近い近現代美術の傑作が次々に登場するので、それだけでもワクワクしました。アーティストのアトリエでの制作過程や、白熱したオークションの様子、アートフェアやギャラリーでの展示風景などを通して、それぞれが現代アートの価値を語ります。はてさて、どのように受け止めましょうか。
「ハーブ&ドロシー」
舞台はニューヨーク、現代美術コレクターの夫婦のお話です。「現代美術のコレクター」ときいてどんな人を想像しますか?お金持ちで、おしゃれで、華やかに暮らしていそう?
ところがそんな想像とは違い、ハーブは郵便局員、ドロシーは図書館司書という公務員の夫婦で、住んでいるのは1LDKのアパート。これはキラキラのお金持ちの世界のお話ではなく、ごくごく普通の市民のお話なのです。
※Amazonプライム・ビデオでは現在は配信されていませんが興味のある方はぜひDVDなど探してみてください。(23年1月現在)
美術史とアートマーケット
「ダ・ヴィンチは誰に微笑む」
この映画の原題は「The Savior For Sale」、つまり「救世主、売り出し中」です。なかなか刺激的なタイトルですね。ルネサンスの三大巨匠の一人である天才ダ・ヴィンチは、美術史の本の中にいるのではなく、21世紀のマーケットやメディアを騒がせ、今日も多くの人々の心を掴んで離さない存在なのです。
★「レンブラントは誰の手に」
監督がアートスリラーと呼ぶこちらは、ハラハラドキドキのドキュメンタリー。レンブラント作品の所有をめぐって、今回も様々な登場人物が随所で個性を発揮します。映画に出てくるレンブラントの《ヤン・シックスの肖像》という作品は、今もシックス家に所蔵されており、肖像画のモデルとなったヤン・ シックスから数えて11代目のヤン・シックスがこの映画の主人公の一 人、野望に燃える若き画商です。
エンターテイメント
★「ゴヤの名画と優しい泥棒」
舞台は1961年のイギリス。美術館から絵を盗み出し、家の洋服ダンスに隠して、「名画を返してほしければテレビ受信料を無料に」と犯行声明を送った!?悲しみを分かち合えずにいた夫婦が、少しずつ寄り添い始める、そんな家族の物語でもあるのです。
「ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像」
フィンランドの国立アテネウム美術館や現地のギャラリーの協力のもと、ある美術商と、その人生の終わりを飾る出来事を描いています。お金、仕事、家族、人生、男のロマン。スクリーンに映し出される一人の美術商の物語に、思わず身を乗り出して入り込んでしまいました。
番外編
#CINEMAウォッチ でご紹介した「ミケランジェロ・プロジェクト」「黄金のアデーレ 名画の帰還」もAmazonのレンタルで見られます。ナチスドイツと美術の関係や、クリムト関連の映画ということでは「ヒトラーVS.ピカソ 奪われた名画のゆくえ(字幕版)」と「クリムト エゴン・シーレとウィーン黄金時代(吹替版)」も要チェックです。今ならAmazonPrime会員は無料で見られます。
プロフィール/美術館ガイド、ワークショップ企画、美術講座講師、執筆などを通して、アートと観る人をつなぐ活動をしています。コロナ禍ではオンラインの鑑賞プログラムや、動画による作品紹介なども。このブログでは、アートが題材となった映画をご紹介しています。
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