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CINEMAウォッチ「わたしたちの国立西洋美術館」

みなさんこんにちは、アートナビゲーターの深津優希です。気温と体温が同じという酷暑の中、いかがお過ごしでしょうか。こんな日には美術館や映画館の涼しさは格別ですね。しかし帰る頃には体が冷え切ってしまうので「上着を持つべし」と毎回思うのですが、半袖半ズボン!夏休みの小学生!みたいな格好でつい出かけてしまうんですよね...。


それはそうと、SNSで見かけて気になっていた美術館ドキュメンタリー「わたしたちの国立西洋美術館」(監督:大墻敦)が、2023年7月15日に公開されます。CINEMAウォッチではこれまで海外の美術館ドキュメンタリーを色々と紹介してきましたが、いよいよ日本の美術館の裏側、そこで働く人々の様子を映像を通して知ることができます。さあ羽織ものを持って、映画館へGO〜!




世界遺産、どこを改修したの?


ル・コルビュジエによる国立西洋美術館の建物が世界遺産になったことをうけ、竣工当時の姿にできるだけ近づけるため、前庭のリニューアルを行いました。当時の動線を再現するように、ロダンやブールデルの彫刻も移動されました。《考える人》の腕がぐるぐると布で巻かれた姿は、まるで骨折してギブスをつけているよう。《カレーの市民》は大きな群像ですが、移動に際して台座ごとつりあげるなど、なるべく彫刻本体に負担のかからない方法を検討していました。彫刻をのせている免振台の中に入ってチェックするシーンや、ブロンズ像の表面をクリーニングするシーンも。こうした作品を守る方法については、美術検定の勉強をしているみなさんは興味をひかれるところではないでしょうか。そしてあの広々した前庭の下には、特別展の展示室が広がっていますので、防水のメンテナンスをしたそうです。




国立西洋美術館の魅力


館内で働く人々の話を聞けるのも、こういうドキュメンタリーの醍醐味です。前館長・現館長、絵画・彫刻・素描・版画等を担当する各研究員、修復家たちがそれぞれの立場からその仕事について語り、美術館の魅力を教えてくれます。

こうした人々以外にも、運送会社の美術専門のスタッフなども登場し、美術館運営に多くの人が関わっていることを実感します。

14世紀から20世紀までの西洋美術6000点あまりを所蔵する美術館はアジアでも他に例がないため、日本中から多くの人が素晴らしい西洋美術に触れるため上野を訪れていますし、また海外からの来館者にとっても魅力のあるスポットなのです。



わたしたちの、とは?


松方コレクションを元にスタートしていますが、そのコレクションは現在誰のものかというと国民のもので、「美術館が開かれていること」がとても大切だというお話も出てきました。震災やコロナで閉館を余儀なくされた時期を思い返すと、美術館が開かれていることにしみじみありがたさを感じます。多くの人が「わたしの美術館」だと親しみを持って通えば、作品を大切に後世に残すことができるのではないでしょうか。美術館の中でお気に入りの場所、お気に入りの作品を見つけて、時々会いに行く。そんな付き合い方ができたら素敵ですね。


美術検定を受ける人にも


美術検定の2級出題範囲には「美術鑑賞の場の役割や現状を理解する」という項目があります。そうはいっても、日頃お客さんとして訪れるだけでは知りえないこともありますよね。映画に登場する収蔵庫の中の様子とか、作品購入の手順とか、ふだん見られないお仕事シーンは参考になることうけあい。更にはマスコミ抜きに美術館単体で大きな展覧会を企画できない日本特有の仕組みを知って驚く方もいるかもしれません。この映画を通して美術館の役割や現状を知り、試験対策にもしちゃいましょう!


さいごに、あなたの住む町のあの美術館も「わたしたちの美術館」です。アート好き、美術館好きのわたしたちで、盛り上げていきましょう。



写真クレジット:©大墻敦


◆映画公式サイト

『わたしたちの国立西洋美術館 奇跡のコレクションの舞台裏』

シアター・イメージフォーラムにて公開中 全国順次ロードショー

配給 ・宣伝:マジックアワー

◆国立西洋美術館



プロフィール/美術館ガイド、ワークショップ企画、美術講座講師、執筆などを通して、アートと観る人をつなぐ活動をしています。コロナ禍ではオンラインの鑑賞プログラムや、動画による作品紹介なども。このブログでは、アートが題材となった映画をご紹介しています。

 


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